「「原子力政策研究会」発足に関する声明」を発出しました

VOICE and VOTEでは、20年10月30日付で、以下の声明を発出いたしました。

「原子力政策研究会」発足に関する声明

10月29日、茨城県議会有志により「原子力政策研究会」が発足した。各種報道によれば、6月定例会での県民投票条例を審議する中で挙がった「原子力問題について超党派で議論できる場を設けるべきだ」との意見を踏まえての発足だという。
海野透・下路健次郎の両県議(いずれもいばらき自民党)らが準備を進め、いばらき自民党(42名)、県民フォーラム(旧国民民主党系、5名)、公明党(4名)、および無所属(3名)の議員に入会を呼びかけたという。問題は、この「呼びかけ」の対象者が、県民投票条例案に反対をした議員に限られているということだ。賛成をした日本共産党(2名)、立憲民主党(1名)、無所属(2名)には声をかけなかったとのことである。
しかし、そもそも6月定例会において、明示的に「超党派」による議論を求めたのは、無所属の中村はやと県議、日本共産党の江尻加那県議の2名である。前者は、少数意見の留保として「この機会に茨城県議会内での原子力発電所に対する議論の活性化、ひいては勉強会や検討会を超党派で行っていくべきであります」と述べ、後者は討論において、「判断が大きく分かれるテーマだからこそ、超党派での勉強会や論議を重ね、責任ある判断を下さなければなりません」と述べている。しかし今回、両名は「声をかけられていない」。
また、東京新聞によれば、「声をかけなかった」理由として、海野県議は「原子力そのものに否定的だから」と説明したという。さらに同紙および茨城新聞によれば、設立総会の挨拶で、同県議は「研鑽を積み重ねながら、原子力の前進を図っていきたい」と述べたようである。はたして彼らにとっての「議論」とは、いったいどのような営為を指しているのだろうか。
筆者は、6月定例会の初日、8万6,703名の茨城県条例制定請求者を代表して、「党派に偏ることなく、徹底した議論により知恵を集め」ることを求めた。仮に、このような振る舞いが、県民の願いに対する「回答」となり得ると考えているのならば、それはあまりにも愚昧であり、仮に「口実」として利用しているのであれば、それはあまりにも卑劣であると言わざるを得ない。
どちらでもないと主張したいのであれば、少なくとも (1) 全会派を包摂し、(2) 継続的かつ実質的な議論が行われ、(3) 議会での審議に直結する、という3つの条件を満たす形式に改めるべきである。

2020年10月30日 VOICE and VOTE 代表 徳田太郎

参考:
東海第二再稼働 自民県議らが研究会発足 反対の共産、立民含まれず(東京新聞2020年10月30日)
原子力、超党派で議論 52人参加 茨城県議が研究会発足(茨城新聞2020年10月30日)

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